自動売買やEAの能力やパフォーマンスを調べるのに欠かせない「バックテスト」
過去の値動きを参照し、実際に自動売買やEAを稼働させていたらどのような成績になっていたのかを一目で分かるようにしてくれる非常に便利なツールです。
しかし多くの方はパラメーターや計測期間など何も考えずに「とりあえずやってみよう」と言う感覚でバックテストを行っていませんか?
そのような感覚だけでバックテストを行ってみたとしても、自動売買やEAの本来持っている能力やパフォーマンスを十分に知ることは出来ません。
自動売買やEAのパフォーマンスを本当に知るためには「計測期間」と「スプレッド」が重要になってくるのです。
今回はその中でもスプレッドの重要性について解説したいと思います。
FXのスプレッドとは?
FX取引を行っている方でスプレッドを知らない方はいないと思いますが、念のため説明しておきます。
スプレッドとは、通貨ペアの提示レートの「売値」と「買値」の差の事を言います。
基本的に流通量の多い通貨ペアですとスプレッドは狭くなり、取引量の比較的少ないマイナー通貨ペアですとスプレッドは広くなります。
また、同じ通貨ペアでも時間帯(特に日本時間早朝)ではスプレッドは広がる傾向にあり、注目度の高い経済指標発表時(アメリカ雇用統計など)なども同じようにスプレッドは広がる傾向にあります。
一般的にスプレッドは取引手数料と考えられることも多く、なるべくスプレッドが狭い方が取引で利益を出し易くもなります。
これらの事から、FXで取引を行う方にとってはスプレッドはとても重要であり、為替レートの差額には細心の注意を払って取引を行う必要があるでしょう。
バックテストは出来るだけ厳しい条件で行うべき
スプレッドが狭い方が取引に有利になると上記で説明しました、ならば自動売買やEAのバックテストも同様にスプレッドを狭くして行えば良いかというとそれは違います、むしろ逆です。
バックテストのスプレッド設定は、エントリーをしても許容できる最大のスプレッド設定で行うべきです。
もしスプレッドを狭くしてバックテストを行えば、極端に言いますとほとんどのEAは右肩上がりの成績になる事でしょう。
そうではなく、条件の厳しい状況でバックテストを行わないと、自動売買やEAの本来持っているパフォーマンスを知ることは出来ません。
さらに条件の厳しい中で得られたデータの方が信ぴょう性が高く、リアル運用していた場合の成績に近いデータを取ることが出来ます。
有料のティックデータだとスプレッドが「変動制」と言う実際のスプレッド変動に近づけたデータを取る事も出来ますが、バックテストの変動制はある程度ランダムでの変動値となるので、実際のリアル運用時のスプレッド変動とは異なります。
それくらいならば、あえて最大のスプレッド設定で得られたデータの方が信頼度は高いでしょう。
例えば、海外FX業者である「XM」のユーロドル(EUR/USD)のスプレッドは1.5~1.9pipsで推移しています(日本時間早朝や重要指標発表時は除く)
ユーロドルで使用できるEAのデータを得たいのであれば、スプレッドを1.5~1.9pipsの変動制にするのではなく、1.9pips固定でバックテストを取ったデータを信用すべきです。
「スプレッドでそんなに成績が変わるの?」
もちろん、そのような疑問を持つのも当然だと思います。
そこで次のようなテストを行ってみました。
これから紹介するバックテスト結果は、全く同じEAをスプレッドだけを変更して取ったデータです。
スプレッド1pipでテスト
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ではまったく同じEAをスプレッド2pipsにしてバックテストしてみましょう。
スプレッド2pips
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信じられないかもしれませんが、この2つのバックテスト結果は全く同じEAです。
スプレッドを変更しただけでもかなり違う結果になってしまったのがお分かりになるかと思います。
特にスキャルピング~デイトレ系の自動売買やEAはスプレッドの影響を大きく受けてしまいますので、より厳しい条件でのバックテストを行うことをオススメします。
厳しい条件だからと言って5pipsや10pipsなど極端な設定にするのではなく、自分自身が「この通貨ペアのスプレッドは○○pipsまでならエントリーを許可する」数値でバックテストを行いましょう。
(ユーロドルなら2pipsまで、ポンド円なら3.5pipsまでなど)
バックテストは最大スプレッドで計測する理由まとめ
バックテストと言うのは、右肩上がりの成績を挙げて見栄えを良くするためのものではなく、運用したい自動売買やEAが厳しい条件下でもちゃんと稼げるのかを判断するために行うべきです。
条件を厳しくしてしまいますと、収益額などの成績は落ちてしまいますが、自動売買やEAなどのパフォーマンスを知るためには必ず行わなければなりません。
その厳しい条件下でのバックテストでも、順調に右肩上がりの成績を維持できた自動売買やEAこそ本物の優秀なものと言えます。
自動売買やEAはあらかじめ販売者または無料提供者さんがバックテストを公開してくれていると思いますが、そのバックテスト結果を鵜呑みにせず、必ず自身の手でバックテストを取り直してみて、本当に良いものかどうかを見極めてください。
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