「もっと大きな金額を稼ぎたい」
「でも、いつロット数を上げればいいの?」
現在運用中の自動売買やEAの収益性や安定感が分かって来たなら、次に考える事は「ロット数を上げて複利運用を行いたい」と言う事だと思います。
しかしシステムトレード運用者の大半は「いつロット数を上げればいいのか」をちゃんと理解できていないかもしれません。
そこで今回は、安全に複利運用を行うためのタイミングや具体的な証拠金について考えていきたいと思います。
複利運用のタイミング
複利運用のタイミングについては何度か過去の記事にも記してありますが、複利運用を行う大前提としてまずは「元本=初期証拠金」を回収してから行うようにしましょう。
複利運用を行えば今までよりも利益が多くなるのは当然ですが、同じように損失額や含み損も多くなるので、もし相場情況とEAのロジックが合っていないと最悪の場合強制ロスカットされてしまう恐れがあります。
仮にどこかのタイミングで強制ロスカットされてしまっても最初に入金したお金は残るように、利益はこまめに出金し元本以上は手元に残るようにしてから複利運用を行ってください。
時々、得た利益の全てを複利運用に回す方も居ますが、このような方はFXで勝てている試しがありません。
利益が出ていれば確かに口座残高は増えていますが、出金して手元に残らなければそれは本当の利益とは言えないからです。
複利運用でどんどん口座残高を増やしていても、いつか大きなドローダウンを被り今までの利益分を全て吐き出してしまうことでしょう。
基本的に複利運用を行うタイミングは、まず元本以上を回収するまでは複利運用を我慢し、複利運用を開始してからも利益の半分は出金する事をオススメします。
複利運用を行える証拠金金額を考える
「複利運用のタイミングは分かったけど、ロット数を上げることが出来る証拠金金額がイマイチ分からない」
このような意見は多く、実際にEA開発者への質問も一番多い内容です。
現在運用中の自動売買やEAのロット数を上げることが出来るのに一番適した証拠金はいくらなのか?を知るための簡単な方法があります、それはバックテストのデータ内にある最大ドローダウンを見る事です。
最大ドローダウンとは、過去のデータを参照してみて仮にEAを運用していた場合、最大でどれだけの損失が出ているのかを知ることが出来る指標です。
逆に言えばそれ以上の損失が出ないと言う訳なので、最大ドローダウンの金額以上を用意すれば理論上は破綻せずに運用が可能と言う事です。
例えば次のようなEAがあったとしましょう。
まずはロット数0.01でバックテストを行ってみます。
すると最大ドローダウンの金額が約9,590円だったことから、最大の損失額以上の証拠金を用意すれば良い訳なので……
最大ドローダウン9,590円+必要証拠金200円=ロット数0.01に必要な証拠金、約10,000円
※証拠金はレバレッジ500倍、対円通貨100円で試算
最大ドローダウンに加えて証拠金となる金額も必要ですから、計算は上記のようになります。
さらに強制ロスカットを執行する「証拠金維持率」はFX会社によって違いがありますので、今回のようなEAを運用する場合は少し多めの12,000円~15,000円を用意すれば十分でしょう。
同じ様にロット数0.02や0.03でもバックテストを行ってみます。
ロット数0.02の最大ドローダウン⇒
最大ドローダウン19,180円+必要証拠金400円=ロット数0.02に必要な証拠金、約20,000円
※証拠金はレバレッジ500倍、対円通貨100円で試算
ロット数0.03の最大ドローダウン⇒
最大ドローダウン28,771円+必要証拠金600円=ロット数0.03に必要な証拠金、約30,000円
※証拠金はレバレッジ500倍、対円通貨100円で試算
このように「ロット数を上げるのにどれだけの証拠金を用意すれば良いのか」が具体的な数値として理解していただけるかと思います。
ただしあくまでもこの最大ドローダウンは「過去の統計で出た数値」でしかありませんので、ギリギリの証拠金を用意するのではなく、強制ロスカットのかからない余裕を持った金額を用意しましょう。
上記のEAの例ですと……
ロット数0.02⇒23,000~27,000円
ロット数0.03⇒34,000~40,000円
これくらい余裕を持った証拠金を用意すれば、安全に運用が行えるはずです。
さらにもっとロット数を増やしたいのであれば、その都度バックテストを取ってみてください。
バックテスト期間は最低でも5~10年間分あれば大丈夫でしょう。
複利運用の考え方まとめ
複利とは「人類による最大の発明だ」と言われるほど効果的な運用方法です。
しかし使い方を1つでも間違ってしまいますと、それまで積み上げて来た利益を全て吹き飛ばすほどの損失を招いてしまう恐れがあります。
そのため複利運用は細心の注意を払い、自身が決めたルールを必ず守って行ってください。
複利運用は大切なお金を全て失ってしまう可能性もありますが、ルールさえ守っていれば必要以上に恐れる心配もありません。
無理せず着実に資産を増やすためにも、複利運用を1度考えてみてはどうでしょうか?
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