ほとんど毎日利益を積み重ねることができ、巷で人気のある「ナンピンマーチン型EA」
裁量トレードのように勝ったり負けたりを繰り返すが、一気に破綻してしまう心配が少ない「単発(ワンポジ)型EA」
様々な種類のEAが世界中に溢れていますが、大きく分類するとこの2種類が一般的ではないでしょうか?
利率が高く愛用者も多いナンピンマーチン型EAと、利率は高く無いけれど長期運用に向いている単発(ワンポジ)型EAはどちらも得られる利益の期待値がほとんど同じと言う事をご存知でしょうか?
「利率がどちらも違うって最初に言ってるじゃん……」と思うかも知れないので、詳しく説明したいと思います。
※非ナンピンマーチン型のことを単発(ワンポジ)型と言っていますが、私独自の分類法なので一般では通用しない場合があるので注意してください。
Contents
得られる利益の期待値の計算方法
毎月得られる利益が違うEAなのに、ナンピンマーチンEAと単発(ワンポジ)EAの得られる利益の期待値が同じになるのか説明します。
ナンピンマーチン型EAはロスカット前提と考える
まず大前提として、ナンピンマーチン型EAはいつかロスカットされてしまう事があると考えなくてはなりません。
例えすごく安定した運用方法や優秀なEAであっても、ナンピンマーチンと言う手法を取り入れている時点で破綻の可能性が常に付きまといます。
「いつ」ロスカットされてしまうのかは相場情況により異なりますが、おおよそ1年に1回はロスカットされてしまうと考えるべきです。
もちろん1年に1回もロスカットされないかもしれませんが、翌年の1年間に2回ロスカットされてしまうかも知れません。
様々なナンピンマーチン型EAを調べたり運用してきた私自身の見解としましては、やはり1年に1回ロスカットされると考えるべきでしょう。
単発(ワンポジ)型EAは損失の機会も考慮する
単発(ワンポジ)型EAはナンピンマーチン型EAとは違い、毎日安定した収入を得られるとは限りません。
そのため1カ月間の収支が赤字となってしまうケースも多く、月利○○%と謳っているEAであっても毎月必ず同じだけの利益を得られるとは考えない方が良いでしょう。
あくまで月利○○%と言うのは、年間の収益から月間で割った数値で表しているのです。
(年利24%なら年間の12カ月で割った数値、24÷12=月利2%となる)
単発(ワンポジ)型EAは突然ロスカットされてしまうと言う心配はほとんどありませんが、損失の機会もそれなりに多く必ず安定した収益を毎月得られるとは考えずに運用を行うべきです。
年間収益の期待値計算方法
上記の解説を考慮した上で、それぞれのEAを年利として計算してみましょう。
ナンピンマーチン型EAは月利10%、単発(ワンポジ)型EAは月利2%、証拠金はどちらも100万円とします。
ナンピンマーチン型EAの期待値
1月 10万円 2月 14万円 3月 12万円
4月 10万円 5月 8万円 6月 11万円
7月 7万円 8月 13万円 9月 ロスカット-100万円
10月 10万円 11月 12万円 12月 13万円
合計 20万円 年利20%
単発(ワンポジ)型EAの期待値
1月 2万円 2月 5万円 3月 -3万円
4月 1万円 5月 4万円 6月 3万円
7月 5万円 8月 2万円 9月 -6万円
10月 4万円 11月 2万円 12月 3万円
合計 20万円 年利20%
ありがちな収益を表にしましたが、どちらも年利換算だと20%で落ち着いていることが分かると思います。
つまりローリスクローリターンのEAを運用すれば、ナンピンマーチン型EA、単発(ワンポジ)型EA問わず、収益の期待値は収束すると言う事です。
ハイリスクハイリターンEAの場合も同じように、月利40%以上のナンピンマーチン型EA、月利10%以上の単発(ワンポジ)型EAの収益の期待値はほとんど同じようになるはずです。
この試算はあくまでも収益の期待値は同じようになると言うだけで、実際に得られる収益がまったく同じになったり、年利は必ず20%出ると言う事ではありませんのでご注意を。
収益の期待値についてまとめ
どのようなタイプのEAを運用しても利益の期待値はほとんど変わらない事を解説しましたが、この世に存在するすべてのEAが利益を出せるわけではありません。
年間を通じて赤字収支になってしまうEAもあるでしょう、年間に何度もロスカットされてしまうEAも存在するでしょう。
だからと言って、ナンピンマーチン型EA=ロスカットの危険があるので使用すべきではない、単発(ワンポジ)型EA=赤字収益になる事もあるので運用は控えるべきと言うのもまた別の話です。
ロスカットされるのが嫌なのなら、2カ月~6カ月だけの運用と決めればいいだけです。
赤字収益が嫌なのなら、売買ロジックを分散させて複数のEAでポートフォリオを組めば良いのです。
ロスカット=悪、赤字収益=邪道ではなく、運用を行う自分に合ったEAを見つけるべきだと考えています。
収益の期待値はナンピンマーチン型EAと単発(ワンポジ)型EAのどちらを選んでも殆ど同じようになるので、後はハイリスクのEAを選ぶかローリスクでコツコツ運用を行うのかを決めるだけです。
EAを選ぶコツがあるとすれば、3カ月前後で撤退すると決めているのならハイリスクのナンピンマーチン型EAを、5~10年はじっくり構えたいと言うのであればローリスクの単発(ワンポジ)型EAを運用してみましょう。
もし「収益が見合わない!」「含み損を見ていられない!」と言うのであれば自分に合っていないEAだと考えてください。
長い年月にわたってシステムトレードを運用していれば、自然と自身に見合った運用方法やEAが見つかる事でしょう。
その他、気になる事があれば下記のお問い合わせフォームにお気軽に連絡してください。