自動売買やEAの種類は大きく分けて2つあるのをご存知でしょうか?
1つはエントリーを行ったレートから逆行したとしても、ロット数とポジション数を増やし追加でエントリーを行うナンピンマーチンゲールタイプ
もう1つはエントリーポイントを厳選し、利益確定と損切りを行いながらも資産を積み上げていく非ナンピンマーチンゲールタイプ(私はワンポジ型と呼んでいます)
しかし皆さんがよく目にしたり聞いたりするのは、ナンピンマーチンゲールタイプのEAばかりではないでしょうか?
そこで今回は、どうして無料で出回っているEAのほとんどがナンピンマーチンゲールタイプのEAなのか?
そもそも非ナンピンマーチンゲールタイプのEAは無料でほとんど出回っていないのは何故なのか?
それぞれを詳しく解説したいと思います。
Contents
無料EAのほとんどがナンピンマーチンゲールタイプの理由
動画やSNS、またはブログ広告などで紹介されているEAのほとんどは「ナンピンマーチンゲールタイプ」のEAです。
どうしてナンピンマーチンゲールタイプのEAばかり紹介されているのか、それぞれ解説します。
大きな煽りや紹介がしやすい
「月利30%以上達成しました!」
「わずか半年で資金が10倍以上に!」
自動売買やEAを探している方ならば、このような宣伝文句を目にしたことがあるはずです。
それもそのはず、ナンピンマーチンタイプのEAはそのほとんどが損切りを行わない為、大きな利益を得る事が出来るからです。
つまり自動売買やEAを使いたい方へ、大きなアピールをすることが出来ると言うのが最大の特徴でもあります。
そのため過剰な煽り文句を付けた広告も多いですが、同様に大衆の目に付くことで自身の紹介しているEAへと誘導しやすいので、ナンピンマーチンタイプのEAが好まれる傾向にあります。
毎日の利益を公表できる
ナンピンマーチンタイプのEAの多くは、ほとんど毎日エントリーを行い利益を手にしている事だと思います。
そのおかげでSNSなどを通じて毎日の成績を公表しやすく、自身が紹介しているEAへと導きやすいのです。
アフィリエイト報酬が大きい
そもそもどうして無料で優秀なEAが配布されているのでしょうか?
EAの開発には多大な時間と多くの資金が必要となるのですが、そのお金の回収はどこからするのでしょうか。
簡単に答えを言いますと、指定された証券会社からのキャッシュバック=アフィリエイト報酬があるからです。
無料で使用できるからと言っても、何の制限もない訳ではありません。
特にEAを使用する前には、指定された証券会社の口座開設を促されることが多いはずです。
この証券会社の所謂「口座縛り」を行う事によって、EA開発者にもお金が入ってくると言う仕組みです。
さらに言いますと、このキャッシュバックはEA使用者のロット数に比例して多くなると言う仕組みがあります。
ナンピンマーチンゲールと言う手法は、エントリーポイントから逆行すればするほどさらに大きなロット数とポジション数を追加でエントリーすると言う性質があります。
するとロット数が大きくなればなるほど、EA開発者に多くの資金がキャッシュバックされると言うわけですね。
このキャッシュバックのルールとナンピンマーチンタイプEAと相性が良いと言うのが、ナンピンマーチンゲールタイプのEAが多い理由ともなっています。
EAの開発も難しくない
実はナンピンマーチンゲールタイプのEAは、作成難易度はそれほど高くはありません。
もちろんエントリーポイントから利益率や含み損の割合と、口座維持率や破綻の可能性を突き詰めなければならないので、簡単と言う訳ではないのですが、ナンピンマーチンを採用しないEAに比べてみれば、エントリーポイントをある程度厳選しなくても「逆行のたびに追加でエントリーし、総合で利益が出ればOK」という考えなので、難しいエントリーロジックや決済位置を考える必要が無いのです。
つまりロジックの開発自体はそれなりに容易であり、あとはプログラムさえ組むことが出来れば誰にでも作成する事が出来ます。
これらの理由から、無料で配布されているEAの多くがナンピンマーチンタイプのEAとなっているのです。
非ナンピンマーチンゲールタイプが少ない理由
無料で配布されているEAの多くはナンピンマーチンゲールタイプとなっており、非ナンピンマーチンゲールタイプ(ワンポジ型)EAが少ないのにもちゃんと理由があります。
毎日or毎月ちゃんと利益がある訳では無い
非ナンピンマーチンタイプ(ワンポジ型)EAはその性質上、毎日利益が出るとは限りません。
月単位で見てみても、マイナス収支で終わると言う事も非常に多くあります。
そのためいくら宣伝しようとしてマイナス収支を公開したとしても、顧客が付きにくいと言う理由があるのです。
長期目線で見られない人が多い
自動売買やEAを使用したいと思っている方の多くは……
「毎月5万円でいいからお小遣いが欲しい」
「生活費の足しにしたいので、まとまった利益が欲しい」
と言う方が大半だと思います。
そのため非ナンピンマーチンタイプのEAを使用して、月単位でマイナス収支を出してしまうと「こんなEA使ってられるかー!止めてやるー!」となってしまい、顧客が離れてしまう事が多く、非ナンピンマーチンEAの普及に至っていないのです。
それに2~5年で年利平均20%と言われても、マイナス収支を数か月連続で出してしまう事もあるため、なかなか顧客を固定できない事も大きな要因です。
実は管理が非常に難しい
自動売買やEAの管理と聞くと、
「重要指標発表前はEAの稼働を停止しましょう」
「金融経済が混乱しているので今月の稼働は止めておこう」
などを良くお聞きすると思います。
実は非ナンピンマーチンタイプのEAは上記にプラスで「EAのロジックと相場が合わない場合は稼働のON/OFFを頻繁にしなければならない」と言うトレーダーにとって大きな障害があるのです。
非ナンピンマーチンタイプのEAは1つのポジションでエントリーから決済まで完結するため、他のポジションと相殺して利益を残すと言うことが出来ません。
そのためEAに搭載されているロジックと明らかに合わない相場情況の場合は、稼働を停止しなければ損失を出し続けてしまう可能性がとても高いのです。
例えばレンジ相場で力を発揮するEAの場合、ずっと一方方向に進むようなトレンド相場では損失を出し続けてしまうでしょう。
逆にトレンドフォロータイプのEAだと、数か月~数年は続くようなレンジ相場だと力を発揮することが出来ません。
相場の状況を見ながら随時トレーダーが稼働のON/OFFなどを管理しなければならないので、EAの管理は非常に難しいと言えるでしょう。
この管理の難しさが、非ナンピンマーチンゲールタイプEAの普及に繋がっていないとも言えます。
EA開発が非常に難しい
ナンピンマーチンタイプと違い非ナンピンマーチンタイプの場合は、非常に厳選されたエントリーポイントと決済のやり方が重要となってきます。
非ナンピンマーチンタイプのEAは裁量トレードに近い手法ですが、単純に優位性だけではなく何度同じことを繰り返しても利益が出ると言う再現性も必要となってきます。
裁量トレードですと、トレーダーの判断で「エントリー回避」や「決済を伸ばすor早めの利確で逃げる」と言うことが出来ますが、相場情況を判断する事ができない自動売買やEAは臨機応変に立ち回ることが出来ません。
そのため損失を許容しながらも利益を残しつつ、さらに相場情況が異なったとしても同じことを繰り返すことが出来る再現性が必須となっています。
意外と「億トレーダー」と言われる方の手法をEA化してみても、再現性が薄いので使い物にならなかったりすることが多いです。
「優位性」と「再現性」を両立する事は非常に難しく、非ナンピンマーチンタイプEAの開発をさらに困難としていると言えるでしょう。
開発の難しいEAよりも、開発が難しくなく利益率の高いナンピンマーチンタイプが多く採用されているのも頷けますね。
単純に人気が無い
「マイナス収支を出してしまう事がある」
「長期で見ないと利益が残らない」
「EAの管理が非常に難しい」
「EA開発者ですら非ナンピンマーチンEAの開発は困難を極める」
これらの理由が付いたEAを使ってみたり開発したいと言う方がどれだけ居るのでしょうか?
非ナンピンマーチンタイプのEAは性質上とても人気が無いのです。
苦労して開発しても利益率は大きく無く、さらに人気が無いおかげで顧客も付きにくいと言った悪循環が非ナンピンマーチンタイプEAの普及率を下げているとも言えます。
だけど非ナンピンマーチンタイプも良いところはある
非ナンピンマーチンタイプはその性質上あまり使われてはいません。
しかしマーチンゲールタイプとは違った特徴もあり、使い方によっては安定して利益を上げ続ける事も可能です。
大きな特徴は、マーチンゲールと違い含み損を抱えすぎ一瞬で破綻してしまう危険性が無いと言う点です。
マーチンゲールEAはよく「ロスカットされたー!」「破綻してしまったー!」などを聞く事がありますが、非ナンピンマーチンタイプですと1日の間で急にロスカットされると言う心配はほとんどありません。
そのため非ナンピンマーチンタイプは低資金からの運用と資金管理がしやすく、複利運用に向いているとも言えるでしょう。
しかしいくら資金管理がやりやすいとは言っても、1~3種類くらいでは利益は安定しない可能性が高いです。
マーチンゲールEAに負けないくらい利益を安定化させたいのであれば、最低でもロジックの異なるEAを6種類以上同時に稼働する必要はあります。
6種類以上と聞けば多いと思われるかもしれませんが、非ナンピンマーチンEAは1つ1つのEAに掛ける証拠金が少なくて済むので、複数同時に回すのはかなり容易となります。
1つのマーチンゲールEAに全財産つぎ込むくらいならば、複数の異なったEAに分散させる方が仮に破綻してしまった場合でも損失は少なくて済むと言うメリットもあります。
ネット上で紹介されているEAの多くはナンピンマーチンゲールタイプがほとんどですが、もし興味が湧いたのであれば非ナンピンマーチンタイプのEAも探してみると面白いかもしれません。
非ナンピンマーチンゲールタイプが出回らない理由についてまとめ
非ナンピンマーチンゲールタイプのEAはその性質上、かなり数は少ないですが探せばちゃんと存在しています。
ちなみに非ナンピンマーチンゲールEAの数が少ない理由がもう1つあり、その原因は原点回帰にあると思われます。
初めて自動売買やEAを使用する場合、多くの方はまずナンピンマーチンタイプのEAからスタートするはずです。
その中で「ロスカットされてしまったー!」と痛い目を見た人が、含み損が少なくて利益の安定する非ナンピンマーチンタイプを探して使用する事でしょう。
しかし非ナンピンマーチンタイプEAですと「思ったよりも利益が出ないな……」「また今月もマイナスだった……」となってしまい、結局は利益率の大きいナンピンマーチンタイプに戻ってくることが多いのです。
つまり……
「初めての自動売買はナンピンマーチンでスタートだ!」
「ロスカットされたー!もっと安全なものを探さなきゃ」
「非ナンピンマーチンだから一気にロスカットされる心配もないぞ!」
「なんか思ったよりも利益が出ないな……やっぱりナンピンマーチンが良いのか?」
「今度こそナンピンマーチンで安定した利益を狙うぞ!」
このような経緯から、一度は非ナンピンマーチンタイプのEAを使用したにもかかわらず、結局利益率などを重視しナンピンマーチンタイプの戻ってくる方が多いのです。
これらの事からも、非ナンピンマーチンはあまり使用されていないと言う経緯に繋がっています。
しかし非ナンピンマーチンタイプの人気が無いからと言って毛嫌いするのではなく、一度両方のタイプを使用してみてはどうでしょうか?
人によっては「非ナンピンマーチンの方が合ってる」と相性の良いことに気が付く方も中には居らっしゃることでしょう。
世間一般では「自動売買やEAはナンピンマーチンは当たり前」となっていますが、自身の性格に合ったEAが見つかるかもしれませんので、非ナンピンマーチンタイプのEAも探して使用してみてください。
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