2022年に入り円安がますます進んでおり、ついには2002年に付けていた1ドル=130円台の大台もついに突破しましたね(※2022年4月現在です)
しかし今回の円安は急激なレート変動だった為、様々な自動売買やEAがロスカットされてしまったと言う報告もされています。
なぜこれほどまでに急激に円安が進んだのか?
ロスカットを未然に防ぐ方法は無かったのか?
それぞれについて詳しく解説したいと思います。
Contents
円安が進んだ理由
まず始めに、為替のレートが上下に変動するのにはいくつかの理由が存在します。
最初に思いつくのが機関投資家や個人投資家の売買による変動ではないでしょうか?
ではその投資家たちは何を指標として買ったり売ったりしているのでしょうか?
テクニカル分析や経済指標と言ったファンダメンタル要素もありますが、大きな要因の1つとして金利が挙げられます。
金利とは貸し付けた資金に対する利子、またその利率のことを指します。
つまり金利を引き上げた通貨は金利目的で買われやすくなり、金利が下がったり据え置きとなった通貨は売られやすい傾向にあります。
2019年ごろからドル円(USD/JPY)のレートが上昇傾向にあるのも、ドルは量的緩和策から金利の引き上げを長期的に続けているのに対し、円は金利を引き上げず低い水準のまま据え置きとなっているのが続いているため、ドルが買われやすく円が売られやすいと言う構図が成り立っているためです。
これらの要因から考えても、円安は以前から続いているものの、さらに長期化する可能性がとても高いのです。
ロスカットが続出!?
円安が与えた影響は経済界はもちろん、私生活に必要となっている輸入物など多岐にわたります。
そして我々のような個人投資家の中にも、大きな損失を被ってしまった方が数多く存在しているのです。
裁量トレーダーの中にも逆張りを行って損失を出してしまった方は居るかもしれませんが、大きな損失を出してしまったトレーダーの大半は自動売買やEAなどのシステム専門のトレーダーとなっています。
損失を出してしまった原因の1つが、ドル円の歴史的な価格変動にあります。
3月の初めごろは115円台を推移しており、一時は114円台までレートが下がった以外は常に上昇を続けており、4月半ばでは129円を付けると言う急上昇相場となっています。
ドル円 4時間足チャート
このように急激な上昇相場であり、さらに下落の反発が少なかったことも相まって多くの自動売買やEAがロスカットされてしまうと言う事態になってしまいました。
ロスカット自体は免れたものの、大きな損失や大量の含み損を抱えた自動売買やEAもたくさんあったとの事です。
今回の事態は回避できたのか?
過去のリーマンショックやコロナショックほどではありませんが、それでも短期間にドル円のレートが一方方向に進んでしまった為、多くの自動売買やEAがロスカットされると言う事態になってしまいました。
それでは今回のロスカットは防ぐことは出来たのでしょうか?私なりの見解を解説したいと思います。
ロスカットを防ぐことは困難だった
本来であれば自動売買やEAなどは「荒れた相場では稼働しない」と言うことを原則として運用を行います。
そのため大きな経済指標発表時や世界的に影響力のある要人発言などが事前に分かっている場合は、自動売買やEAの稼働の停止を推奨している場合がほとんどです。
しかし運用停止が推奨されているのはあくまでも、価格の急変動が事前に分かっている場合に限ります。
特に今回のように数日をかけてレートが一方方向に進む事を予測する事はかなり困難だったと言えます。
ドル円の値動きの特徴としては、トレンドが発生すれば一方方向に進むケースが多くみられますが、それでも大きく動いたとしても100~200pips程度です。
普段ですと100pips程動いた場合ある程度の反発が期待できるので、普通の自動売買やEAですと含み損は抱えるものの利益確定まで持っていくことが出来るでしょう。
しかし今回は最初の大きな反発まで900pips耐えなければならなかったことや、その反発後も価格が上昇を続けたため多くの自動売買やEAが耐えることが出来ませんでした。
さらにドル円のEAを作る際の考え方としましては、ドル円は他の通貨ペアに比べてボラティリティがそれほど高くない為、狭いレートの中で繰り返し売買を続けるものでなければ利益をそれほど得ることが出来ません。
しかし狭いレートで売買を繰り返すEAを作ってしまいますと、今回のような大きな変動幅でロスカットされず耐えきることはまず不可能です。
これら様々な理由からも考えて、ドル円専用のEAでロスカットを未然に防ぐことはかなり困難だったと言えます。
ウクライナ問題で回避できたEAもある
今回ドル円レートの歴史的上昇でロスカットされてしまった自動売買やEAがたくさんあった一方で、同じEAを運用していながらロスカットを免れた方々も存在することが私の調べで判明しました。
ではなぜ同じ自動売買やEAでありながらロスカットを免れることが出来たのか?
それは昨今のウクライナ問題により3月から運用を停止していた方や、いつもよりロット数を抑えて運用をしていた方々です。
ウクライナ問題は日本の方でもすでに知られているので細かな説明は不要だと思いますが、そのウクライナ問題が経済や金融界隈でも危惧されていた為、個人投資家たちの間でもトレードを行わないと言う選択肢を取られた方もたくさん居ました。
-
ロシアのウクライナ侵攻による為替相場への影響について
※この記事は3月19日現在のものとなっております。 最近、世界規模で世間を揺るがせているロシアによるウクライナへの軍事侵攻。 主要国によるロシアへの経済制裁強化により、世界経済への悪影響の懸念は強 ...
3月から運用を停止していた方やロット数をかなり低くして運用を行っていた方などは、今回のドル円急上昇の大変動に巻き込まれずに済みました。
私個人の考えとしましては、急激な円安も含めてウクライナ問題が沈静化するまでは自動売買やEAの運用を停止した方が良いと思います(実際に私自身も3月中ごろからメインのEA運用を停止しています)
具体的なEAの再開時期を示唆することは出来ませんが、5月はまるまる捨てて6月からの運用を個人的にオススメします。
急激な円安によるロスカットの背景まとめ
今回ロスカットされてしまった自動売買やEAの大半がナンピンマーチンゲールと言う手法を取り入れたものでしたが、1つのポジションだけで売買を行うタイプの自動売買やEAも大きな損失を出してしまったものがあります。
それだけ今回の急激な円安相場の攻略は難しかったとも言えます。
自動売買やEAはトレーダーに変わり自動で取引を行ってくれる便利なツールではありますが、過去に類を見ない相場情況だと大きな損失を出してしまう可能性があると言う事もちゃんと考慮しておきましょう。
「だったら自動売買やEAは使えないのか?」と言うと、そうではありません。
大きな損失を出してしまう時があると言う事もちゃんと考えたうえで、長期目線で運用をすれば問題はありません。
実際に今回の損失額よりもすでに今までの利益の方が多いトレーダーも多く存在します、仮に今回初めて大きな損失を出してしまったと言う方でも、これから諦めずに運用を継続すれば損失を上回る利益を得られる可能性だってあります。
今回のロスカットにより自動売買やEAの印象自体が悪いものになってしまったのは確かですが、諦めない限り稼ぎ続けられるチャンスはいくらでもあるのです。
一時の損失や感情に振り回されるのではなく、もっと長い目線で資産運用を行ってみてください。
その他、気になる事があれば下記のお問い合わせフォームにお気軽に連絡してください。